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骨粗しょう症
骨粗しょう症による骨折を予防する
“ロコモティブシンドローム” という言葉をお聞きになったことがありますか?
ロコモティブシンドロームとは、筋肉、骨、関節、軟骨、椎間板といった運動器に障害が起き、 歩行や日常生活に何らかの支障をきたしている状態のことです。 骨・関節の病気は、高齢者が要介護の状態になる原因の一つにあげられており、 骨や関節をよりよい状態で保つことは、いつまでも元気な生活を送るためにとても重要です。

骨粗しょう症により骨折しやすい部位
骨粗しょう症は、骨密度が減少して、もろくなってしまった状態のことをいいます。 もろくなってしまった骨は、身体の重みがかかっただけで潰れてしまったり、転んだだけで骨折してしまったり、 少しの力がかかっただけで大きなけがにつながりやすくなってしまいます。
骨粗しょう症と診断されたら、早めに治療を開始して、より健康な骨の状態を維持すること、 また、食事や運動で骨粗しょう症を予防、進行を抑えることがとても重要です。
症状

骨粗しょう症の症状
軽度の骨粗しょう症では、立ち上がる時や重い物を持ったときに背中や腰が痛む、背中や腰が曲がっている、 身長が縮んできたなど、症状というよりも加齢による老化と受け取られるような現象です。
重度になると、転んだだけで骨折する、歩くのがつらい、歩けない、寝たきりになることもあります。
早めに気づいて、早めに治療を開始することが大切です。
原因

加齢による骨量の変化
骨は新陳代謝を繰り返しています。 古い骨が削り取られ、削られた部分にカルシウムが補われ新しい骨を形成。健康な骨が保たれています。
加齢や他の疾患などが原因で、新陳代謝のバランスが崩れ、 削り取られた部分の骨の形成が追いつかなくなると、骨がもろくなってしまうのです。
検査

骨密度測定装置(DXA装置)
専用の装置で腰椎に少量のX線を照射し、骨に吸収されるX線の割合から骨密度を測定します。 腰椎に変性や圧迫骨折などがある場合は、大腿骨または前腕骨で測定します。
検査台に5分程度、仰向けの状態で横になっていただくだけの苦痛のない検査です。
治療
骨粗しょう症の治療は、薬物治療が中心となります。 新しい骨の形成を促すものや古い骨が削り取られるのを抑えるもの、 カルシウムの吸収を促すものなど、作用の違ういくつかの薬があります。
骨粗しょう症の発症には、運動習慣や食事習慣が強く影響しています。 そのため、治療は食事療法や運動療法も併せて行います。
予防

カルシウム: 牛乳,チーズ,ゴマ,小松菜,煮干し
マグネシウム:玄米,アーモンド,イカ,ほうれんそう
ビタミンD: 干しシイタケ,まぐろ,鮭,しらす干し
ビタミンK: 納豆,ひじき,ブロッコリー,キャベツ
骨粗しょう症の予防
カルシウム源である乳製品や大豆製品は毎日欠かさず摂るようにします。体の中でカルシウムをきちんと機能させるために、マグネシウムとビタミンD・Kも一緒に摂りましょう。
高齢になるとあっさりした食事を好むようになり、栄養素が偏りがち。 たんぱく質が不足しないよう、魚介類・卵・大豆製品の中から何かを野菜と一緒に食べるようにしましょう。
また、カルシウム吸収率低下を招かないために、日頃から胃腸に負担をかけない、 運動不足にならない、アルコールの多飲、タバコの吸いすぎに気をつけましょう。
整形外科 森田真也