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パーキンソン病

1996年のアトランタオリンピックでよろよろ歩く痛々しい姿ながらも 最終聖火ランナーを務めた元ボクシングヘビー級チャンピオンのモハメド・アリ氏。 彼の姿を見て心打たれた方も多いことでしょう。彼はパーキンソン病という病気の患者です。

症状

この病気は、じっとしている時に手足がふるえるといった症状から始まることが多く、 筋肉がこわばり手足の動きがぎこちなくなります。 そして徐々に、歩き始めの一歩が出ない、小刻みに歩く、転びやすいなどの歩行障害や寝返りがうちにくい、 まばたきが少なくなる等の症状を伴う難病で、50歳代からの高齢者に多くみられます。

一般に人口10万人あたり100人ほどの患者数、年間10人が新たに発症するといわれており、 国の特定疾患(難病)に指定されています。 高知県は人口約80万人ですから、800人前後の患者数、年間80人程度の発症があると考えられます。

予防・治療

この病気は、中脳の黒質というところの神経細胞が少なくなり、 ドーパミンという神経伝達物質が減少することによって発症します。 しかし何故そうなるかは原因不明で、従って予防方法としたものはありません。

治療方法は、少なくなったドーパミンを補充するために、Lドーパを服用します。 しかし薬の効果が弱くなった時や、副作用が強く十分な量の薬が飲めない場合においては、外科手術を行なうことがあります。 この手術は、脳の一部を熱凝固する方法と脳内に細い電極を設置して 心臓のペースメーカーのように常に脳の一部を刺激する方法があり、症状を改善させることが可能です。 しかし一般的に完治はしないので、糖尿病などのように長く付き合わなければならない病気と考えてください。

「脳のペースメーカー」はどこで施術できるのですか?

これは脳深部刺激療法(DBS)といわれる、極細の電極の針を脳に刺す高度な手術が必要です。 まず最新機器を使って、電極を植え込む位置を正確に特定するのですが、1ミリの位置のずれで効果に大きな違いが出るため、 精密さを要求される手術です。

そのためこの手術を定期的に行なっている病院は、四国には現在4病院しかなく そのうち高知県では、「いずみの病院」だけで行なっています。

脳神経外科 清家真人

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