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アルツハイマー型認知症以外の特殊な認知症
2012/10/05 7階多目的ホール 第21回脳と神経の勉強会

今回は、『脳と神経の勉強会』での来場者アンケートで毎回、開催リクエストの多い“認知症”に関するテーマで開催。
よく知られる、アルツハイマー型認知症以外の認知症について、当院脳神経外科医師・もの忘れ外来担当医 楠木司が話をさせていただきました。認知症のご家族の方、ケアマネージャーとして働いておられる方、ご自身や身近な方が“認知症”ではないかと不安に思っておられる方、いろいろな立場や境遇の方がご参加くださいました。
“認知症”は症状で原因となる疾患が必ずあります
“認知症”とは、いったん発達した知能が持続的に低下し、日常生活に支障を来たす状態をいいます。 認知症は、症状群をいい、疾患名ではありません。 症状は、短期記憶力・空間認識力・注意力の低下、幻視などの幻覚、視覚認知の障害、 人格の変化、粗暴・一方的な態度などさまざま。認知症が現れる原因も、脳の病気や変性などさまざまです。 認知症状を来たす脳疾患と、それぞれの疾患で現れやすい症状を例にあげていくと、 会場内のあちらこちらでは大きくうなずいたり隣の方と顔を見合わせる姿が見られました。
診断は慎重に正確に
これらの症状は1つの疾患に特有のものではなく共通するものも多く、診断は容易ではありません。 MRIなどの画像とあわせて慎重に原因を探ります。 最初の診断が間違っていると、処方された薬剤の副作用や過敏反応により診断をさらに難しくすることもあります。 治療にはスピードも重要ですが、最も重要なのは正確な原因把握なのです。
認知症状を来たす脳疾患
- 脳腫瘍
- 水頭症
- 脳梗塞
- 慢性硬膜下血腫
- 脳委縮症
- アルツハイマー病
- レビー小体型認知症
- ピック病
- 混合型認知症
問診・言動・画像から、原因となる疾患を見つけ出します。
“認知症”やその患者に対する社会の偏見をなくしたい
「認知症患者数は増えています。患者さんがいい状態で過ごせる期間を少しでも長くしたい。 愛する家族との生活を意義あるものにしたい。 認知症の患者さんやご家族が、肩身の狭い思いをせずに生きられる世の中にしたい。 私が医師として“認知症”に取り組む根本には、その思いがあります。 医師としてだけではなく、家族を持つ一人の人間としても、その思いは強い」。
毎日の診療に臨む熱い思いで、勉強会を締めくくりました。
脳神経外科・もの忘れ外来担当医 楠木司