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再生医療について

2013/08/02 7階多目的ホール 第31回脳と神経の勉強会

再生医療とは、病気やけがでなくしてしまった機能や部位を補う治療です。 ノーベル賞を受賞した、京都大学・山中教授のiPS細胞の研究で注目が集まっています。

再生医療には、再生医学と組織工学という2つの大きな分野があります。

再生医学とは

再生に関わる細胞(幹細胞)を研究する分野です。 幹細胞には、iPS細胞やES細胞、自己幹細胞などがあります。

iPS細胞やES細胞は、人や動物の体内や受精卵の一部から取り出された細胞から培養されます。 強い増殖力がありますが、ガン化しやすい、平面で培養するためシート状になり臓器を形成しづらいという問題点があります。 この臓器形成が困難という問題点を克服するため、 iPS細胞を活用して動物の体内で移植用の臓器をつくる実験が許可され、研究が始まりました。

自己幹細胞は、損傷を受けた皮膚や筋肉、臓器などの治癒のため体内にあるものです。 自分の細胞ですので、拒絶反応がない、ガン化しにくい、倫理的問題が少ないという利点があります。 が、増殖力が弱い、特定の細胞にしかならないという欠点があります。 脳にも自己幹細胞があることが分かっており、これからの研究が期待されています。

組織工学とは

細胞の増殖と分化(特定の機能をもつ細胞になること)を促すための足場を研究する分野です。 足場がない状態では、幹細胞が集まりにくくどこかに行ってしまい、生存、分化しにくくなってしまいます。 幹細胞が組織上に留まりやすくするための足場をつくり、増殖・分化を促します。


再生医学と組織工学
再生医学と組織工学

再生に関わる細胞を研究するのが再生医学。 細胞の増殖と分化をしやすくするための足場を研究するのが組織工学。 足場があると、細胞が集まりやすくなり、組織の修復が進みます。


実際の治療への応用は

今年7月、理化学研究所で行われてきたiPS臨床研究が厚生労働省で承認され、 iPS細胞を実際の治療に役立てる研究がいよいよ始まりました。 世界初の例で、まずは網膜の研究が行われ、早ければ来夏にも実際の患者さんに移植されます。 4年以上の経過観察・追跡を経て、この研究の成功が認められれば、iPS細胞を利用した再生医療の世界基準となります。

また、下顎骨や歯槽骨の再生はすでに行われており、実際に移植され効果が確認されています。

当科の特徴を活かした研究を

当院は、パーキンソン病に対する脳深部刺激療法(DBS)や脳卒中後遺症による麻痺に対する経頭蓋磁気刺激療法(TMS)など 専門的な治療を一つの施設で行い、症例数も多いという、全国的にも珍しい特徴があります。

DBSやTMSで脳に電気や磁気の刺激を受けた後、細胞が分化や増殖するときに必要な脳内の物質が、 どのように変化するかを調べ研究したいと考え準備を進めています。 物質の数値は、血液検査で調べることができます。 まだ先の話ですが、研究にご協力いただける方がいらっしゃったらお願いしたいと思います。

脳神経外科

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