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三叉神経痛と顔面けいれん 微小血管減圧術による根治治療

2013/10/03 7階多目的ホール 第33回脳と神経の勉強会

三叉神経痛と顔面けいれん

  三叉神経痛 顔面けいれん
  顔に痛みがでる病気。 顔の感覚を脳に伝える神経に痛みが起こり、顔が痛いと感じる。 顔の片側半分が自分の意思と関係なくけいれんする病気。
症状 非常に強い、突発的な痛み。 一瞬〜数秒のものがほとんどで、長く続いても数十秒。 洗顔、噛んだり飲んだりなどさまざまな動作で誘発される。 また、鼻の横など触ると誘発するポイントがある。 通常、目のまわりがピクピクとする症状から始まり、頬、額、口、顎へと広がる。 緊張・ストレス・疲れ・強い閉眼など顔面筋の運動などで誘発される。
原因 ほとんどは、血管による神経の圧迫が原因。 他に、腫瘍による圧迫、まれに血管の奇形。 ほとんどは、血管による神経の圧迫が原因。 他に、腫瘍による圧迫、まれに強いクモ膜による圧迫。
診断 症例を重ねた医師による、症状や経過の詳しい聞き取りが大切。 MRIで血管または腫瘍を確認。専門的な診断が必要。 MRIで血管または腫瘍を確認し、脳神経外科医、神経内科医による総合的な診断が必要。
治療 投薬による痛みの緩和、神経ブロックにより痛みの伝達を減らすなどの治療があるが、再発や合併症の危険。 投薬によるけいれんの緩和、ボツリヌス療法による筋肉の緊張の緩和などの治療があるが、 再発するたびに治療を繰り返す必要あり。
どちらの疾患も、根治治療は外科的手術

微小血管減圧術

神経を圧迫している血管を剥がし、神経に当たらない場所に移動する手術です。 症状の原因を根本から取り除く、最も効果的な治療法です。

手術では、耳の後方を5cmほど切開します。 この位置は通常毛髪の中ですので、術後傷が目立つことはありません。 頭蓋骨に小さな穴を開け、そこから部位を確認し、血管を慎重に剥がして移動します。 この際、再発を防ぐため、血管と神経の間に物を挟まないようにすることが重要です。 当院では、テフロンという素材を使って細い紐のようなものを作り、血管を巻いて、 特殊なのりで神経にくっつかないよう他の場所にくっつける方法をとっています。 これは、体に悪影響が少ない、非常に有効で安全な方法です。

手術により、90〜95%の高い割合で痛みやけいれんが消失します。 術後すぐに消失することがほとんどですが、徐々に軽減し1〜2週間かかることもあります。 予定どおりであれば、術後1週間〜10日ほどで退院できます。

手術部位の周囲には視覚や聴覚を司る神経があるため、手術には細心の注意が必要です。 より安全な治療を目指し、神経信号をモニターで確認しながら手術を進めています。

痛みやけいれんの苦しみや悩みから解放され、よりよい生活が送られるよう、お力になりたいと考えています。

脳神経外科

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