トップ > 病気の知識 > 過去の勉強会一覧 > パーキンソン病の手術・パーキンソン病における細胞移植治療
「パーキンソン病の手術」「パーキンソン病における細胞移植治療」
2013/11/16 高知市立自由民権記念館 高知パーキンソン病フォーラム
難病とされる疾患の一つであるパーキンソン病。 病気への理解を深め、治療や今後の展望など最新の情報を知ってもらおうと毎年開催しているこのフォーラム。
今年は、ノーベル生理学・医学賞を受賞された山中伸弥教授が所長を務める京都大学・iPS細胞研究所から高橋淳教授をお迎えして、 期待されるiPS細胞を用いた治療についてお話しいただきました。

パーキンソン病の手術

いずみの病院 脳神経センター長・
パーキンソン病外来担当医 清家真人
初めに脳神経センター長の清家真人より、脳深部刺激療法(DBS)について説明。 この手術は、脳の視床下核に電極を埋め込み、電気刺激することで症状を緩和させるものです。 さらなる薬の増量や日内変動(症状が1日のうちで良くなったり悪くなったりを繰り返す状態)の コントロールが困難となった場合に、手術が検討されます。
視床下核は5〜8ミリほどの大きさで、手術では繊細な調節と判断が求められます。 電極を埋め込む位置は、生活上で最も困っている症状や症状のある部位によって決定します。
当院では2001年の開院以来、176人に326回の手術を行っています。
パーキンソン病における細胞移植治療

京都大学 iPS細胞研究所
教授 高橋淳氏
続いて高橋淳教授からは、iPS細胞を用いた細胞移植治療や今後の展望などについてお話しいただきました。
パーキンソン病の根本原因は、ドパミン神経細胞の減少です。 細胞の減少によってドパミン分泌量が不足し、筋肉のこわばりや振るえなどの症状が現れます。 現在手術と並んで治療の主流となっている薬物療法は、不足したドパミンを補うもの。 対して細胞移植治療は、ドパミン神経細胞を補充する根本的な治療をめざしています。
「薬が効きやすくなる、日内変動のオフの時間が短縮される、また到達できるか分かりませんが、 薬がいらない状態になることをめざして研究を進めています。 問題点とされる移植細胞のガン化は、動物を使った実験では悪性のものは認められません。 過剰な増殖の抑制については、検証を進めています」と高橋教授。
今後さらに有効性や安全性を確認し、厚生労働省への申請、京都大学病院での臨床研究、 平成32年度からは京都大学での先進医療や京都大学以外での臨床治験を経て、 37年度から一般的な保険治療の開始がめざされます。 免疫反応などまだまだ課題は多いものの、「順調に進めば、パーキンソン病の一般的な治療になる。がんばります」。 力強い言葉に、大きな期待と拍手が送られました。
脳神経センター長 清家真人