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認知症患者数が増えているワケ
2015/02/06 7階多目的ホール 第49回脳と神経の勉強会


認知症を有する高齢者の割合
高齢者の年齢段階別認知症出現率
*%は65歳以上の高齢者人口に対する割合
厚生労働省「認知症高齢者の日常生活自立
度」U以上の高齢者数について
(2012年8月24日公表)

認知症を有する高齢者の将来推計数
65歳以上の認知症高齢者数
厚生労働省研究班推計(2013)
認知症患者数増加の状況
介護が必要な65歳以上の認知症患者数は、2012年に300万人を超え、2002年の149万人から10年間で倍増。 2015年の推計では345万人とさらに増え、65歳以上の人口に占める割合は、10.2%。 団塊世代の高齢化が進む2020年、2025年にはさらにその割合が増すと考えられています。
なぜ患者数は増加しているのか
歳をとれば、体も脳も歳をとります。 体の老化は目に見えて分かりやすいのですが、脳の老化は見えないため分かりにくく受け入れがたいものです。
高齢者の年齢段階別認知症出現率をみると、高齢になればなるほど認知症である方の割合は増加。 80歳を超えると5人に1人以上、90歳を超えると2人に1人以上が認知症になります。 認知症は決して珍しい病気ではなく、誰もがなる可能性があるのです。
また、認知症が広く一般に知られるようになり医療機関への受診が進んだことも、 認知症患者数の増加に影響していると考えられます。
認知症の予防と進行抑制
日本人の平均寿命が延び、男女とも80歳を超えました。 目標は単に長く生きるのではなく、長く元気に生きること。 いろんなものを見て聴いて触って感じて楽しんで、刺激のある生活を送り、脳を活性化しましょう。 テレビを見たり散歩したり旅行に行ったり、一人よりもご家族やご友人など誰かと一緒にした方が刺激は増えます。 動脈硬化や糖尿病など血流が悪くなる疾患があれば、その疾患をしっかり治療・管理することも有効です。
また、進行を緩やかにするため、できるだけ早い段階で発見し、正しい診断、適切な治療を受けましょう。 認知症を理解すること、患者さんが落ち着ける環境を整えることも重要で、ご家族の理解・協力が欠かせません。 家族だけで抱えすぎないよう、医療・福祉・介護・行政、地域で支援する体制の充実が望まれます。
脳神経外科・もの忘れ外来担当 楠木 司