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もの忘れ外来の実際

2015/07/03 7階多目的ホール 第54回脳と神経の勉強会

第54回脳と神経の勉強会のようす

もの忘れとは

もの忘れとは、老化や他の疾患などが原因で、脳の記憶に関する機能が正常に働かなくなる状態のこと。 老化によるもの忘れは、超高齢社会では誰もがなる可能性があります。 他の疾患によるもの忘れは、疾患の治療が不可欠です。

もの忘れ外来とは

もの忘れ外来では、原因の正確な診断とご本人・ご家族への問診が重要です。 問診内容から患者さんの生活や性格、ご家族の気持ちなどの理解に努めています。 医師に伝えたいこと、お聞きになりたいことを事前に整理してお話しいただけると、正確な理解につながります。

怒る、妄想など介護する側にはつらい精神症状は、環境や周囲の接し方がその引き金や悪化の要因となることも。 病気への正しい理解を助け、患者さん、ご家族がご自分らしく過ごされるよう専門的な立場から支援したいと考えています。

もの忘れ外来の一般的な流れ
問診 本人へ
家族へ
取り繕った内容が真実に置き換わってしまうことがあるため、ご家族への問診は不可欠です。
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検査 MRI
高次脳機能検査
脳血流検査
血液検査
髄液検査
脳波検査 など
もの忘れの症状が老化によるものか他の疾患によるものかの判別、原因疾患、進行度などを調べるため、 脳の委縮、働き、血流、脳波、全身状態などさまざまな検査を行います。
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家族への説明 本人への告知
病気の説明
今後について
ご本人への告知は病気の程度や理解力の程度、ご本人の性格などを考慮。 病気そのものや病気であることをご家族が正しく理解できるようご説明します。
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治療 内服薬
原因疾患の治療
記憶に関わる神経細胞の減少を防ぐ薬、精神症状で 社会トラブルやストレスを抱える場合には向精神薬の処方も。 アルツハイマー病や脳梗塞、水頭症など他の疾患が原因であれば、その治療を行います。
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生活環境 家族との関係
近所の方との関わり
外出・趣味など
同居家族・子や孫の有無、日中の過ごし方、外出や趣味への積極性、近所の方との関係などをお聞きして、 その方に合った改善点をお話しします。
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介護保険申請 制度の説明
医師意見書作成
お住まいの市町村窓口で要介護認定の申請を行うために必要な医師意見書を作成します。 認定された介護度によって、ご本人やご家族の生活を支援するさまざまなサービスを利用することができます。
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再診   定期的な受診で、ご本人・ご家族からお話をお聞きして、進行、薬の調整、必要な検査などを判断しています。

脳神経外科・もの忘れ外来担当医 楠木 司

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