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パーキンソン病の薬

2016/05/06 7階多目的ホール 第64回脳と神経の勉強会

第64回脳と神経の勉強会のようす

パーキンソン病の薬物療法

パーキンソン病は、神経細胞が連絡しあうのに必要なドパミンが減少することで連絡が滞り、 運動機能が低下する病気。治療はドパミンの補充が原則です。

薬物治療の基本薬レボドパは、ドパミンの原料を補充して生成量を増やします。 ドパミンが増えるためよく効きますが、ドパミンは2時間ほどしか体内に残らないため、持続時間が短いのが欠点。 欠点を補おうと服用回数を増やすことで量が増えたり、長期に服用したりすれば、 ウェアリングオフ(日内変動。1日のうちに薬が効いている時間と効いていない時間を繰り返すこと)や ジスキネジア(体のくねり)、幻覚・妄想などさまざまな副作用が出現します。

最近の薬物治療の考え方

最近、これらの副作用はドパミンを受け取る受容体への刺激が断続的になると受容体が疲れてしまうためという考え方が広まってきています。そこで、ドパミン受容体を持続的に刺激するアゴニスト系を早期から服用・併用する方向へと治療の考え方が変わってきました。

レボドパ、アゴニスト系の他、ドパミンの分解を抑制するCOMT阻害剤やMAO-B阻害剤、 分泌を促進するアマンタジン、生成を促進するトレリーフ、神経の過剰興奮を抑制するノウリアストなどがあり、 医師は長期治療を見据えて薬物治療の計画を立てています。 ご不明な点などございましたら、主治医にご相談ください。

パーキンソン病薬物治療の基本的な考え方
パーキンソン病薬物治療の基本的な考え方

給油(レボドパ服用)すれば車は動ける(症状消失・軽減)ようになります。 しかし長期服用でガソリンタンクの容量が小さく、持続時間が短くなります。 たびたび給油(服用)すれば給油量(服用量)が増え、車の動きが悪く(副作用の出現)なってしまいます。 できるだけ副作用を出さないよう考慮した治療計画が重要です。


脳神経センター長・パーキンソン病外来担当医 清家 真人

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