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パーキンソン病の新しい治療
iPS細胞移植・ドパミン持続注入療法など
2017/04/07 7階多目的ホール 第75回脳と神経の勉強会


ドパミン持続注入療法

iPS細胞移植
パーキンソン病の治療
パーキンソン病は、脳内で神経伝達物質のドパミンを作る神経細胞が減少することが原因となり、手足のふるえや筋肉の固縮といった症状が現れます。
治療として、減少したドパミンを補充したり吸収しやすくするなどの作用をもつ薬の服用、リハビリが併用されます。 しかし、服薬の期間が長くなったり量が多くなると、薬の効果の日内変動が激しい、体がくねるなどの副作用が現れます。 薬だけで症状をコントロールするのが難しくなると、 症状を引き起こす異常な神経伝達信号を遮断するための手術(脳深部刺激療法・DBSなど)が検討されます。
パーキンソン病の新しい治療
これらの他、新たな治療法として注目されているのが、ドパミン持続注入療法。 胃にチューブを留置し、携帯型の小型ポンプで直接薬剤を送りこみます。
さらに現在研究が進んでいるのが、iPS細胞移植です。 人から採取して培養したiPS細胞を、ドパミンを作る神経細胞に成長させ、脳に移植します。 脳内でドパミンを作る働きを再生させる新たな治療で、 平成30年度、京都大学で治験(人での有効性や安全性について調べる試験)開始が予定されています。
パーキンソン病の治療は進歩しています。 新しい治療法によってドパミンの安定的、持続的な供給が得られれば、 日内変動などの副作用が軽減され、患者さんの生活の質向上が期待できます。
脳神経センター長・パーキンソン病外来担当医 清家 真人