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パーキンソン病と睡眠障害

2018/08/31 7階多目的ホール 第92回脳と神経の勉強会

不眠症ってどんなもの?

第92回脳と神経の勉強会のようす

加齢に伴うメラトニン分泌の変化

不眠症とは、「眠ろうとしているのにうまく眠れなかった」「眠る時間はあるのに自分で望むような睡眠がとれなくなった」と感じて困っている状態のことをいいます。

眠りの要素は「時間」と「質」ですが、重要なのは「質」の方です。睡眠時間が短くても、目覚めがすっきりし、日中も疲れが残っていなければ不眠症ではありません。「多忙」「寝る暇がない」などの理由で眠る時間が足りない場合は、睡眠不足といえます。

不眠症にはいくつかのパターンがあり、日中の機能障害(倦怠感・注意力の低下・日中の眠気など)が認められると診断がくだされ、不眠の状態が少なくとも1ケ月持続すると慢性とみなされます。ただし、加齢とともに睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌が減るため、睡眠時間が短くなっていくのは自然なことです。若いころと同じような睡眠をとれないと不安になったり、実際は眠れているのに、眠れていないと悩んでいる方(逆説性不眠)も多くいらっしゃいます。眠れないからと睡眠薬を多量に服用すると、逆効果となり、不眠の悪循環に陥る可能性もあります。

不眠症のパターン

パーキンソン病では

パーキンソン病における睡眠の問題

ベッドに横になっている時間と実際寝ている時間の割合「睡眠効率」が低下しやすく、実際眠ろうとしてもなかなか寝つけない入眠障害が多くみられます。さらに深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」の時間が短くなるので熟睡感に乏しくなります。夜中に薬が切れて「寝返りできない」「痛みで目が覚める」、また「夜間頻尿」による中途覚醒などの問題も多く見られます。 


 

よりよい眠りのために

不眠に対する対策

まずは眠りを妨げる要因がないか生活を見直す必要があります。日中はカーテンを開け、できるだけ日光を浴び体を動かしましょう。眠るとき以外はベッドへ入らないようにするなど右図を参考にできることから改善しましょう。

睡眠薬を使用する際は、適切な量と症状に見合った服用が必要です。パーキンソン病の方はさらに注意が必要です。症状や治療の経過を知る主治医にご相談いただき、早めの対策をこころがけましょう。


 

脳神経センター長・パーキンソン病外来担当医 清家 真人

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