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「放置しないで!糖尿病」

2019/02/27 7階多目的ホール 第59回糖尿病勉強会

ドクター

きんろう病院 内科医 谷脇 広道 

糖尿病は、膵臓から出されるインスリンというホルモンの出が悪くなったり効きが悪くなったりして、血糖値の高い状態(高血糖)が続いてしまう病気です。

 糖尿病の治療は食事療法と運動療法を基本として血糖コントロールを行いますが、コントロールが困難な場合には薬物療法を行います。


健診

「症状ないし、大丈夫…?」

 初期は無自覚・無症状ですが、進行すると強い空腹感、のどが渇く、多尿、疲れやすくなる、体重が減るといった症状が出現します。さらに進行すると、神経障害、網膜症、腎症などの合併症をおこします。一度合併症をおこすと元に戻すのは困難で、網膜症は失明の原因の第2位、腎症は透析の原因の第1位になっている、非常に危険な合併症です。

 早期発見・早期治療により食事と運動療法のみで良好な血糖コントロールが期待できます。健診などで糖尿病の可能性が指摘されたら、放置せず受診してください。


「糖尿病のお薬」

血糖コントロー
	ル
      糖尿病のお薬

血糖コントロールの目標値は、年齢・罹病期間・臓器障害・低血糖の危険性・サポート体制などを考慮して個別に設定します。  糖尿病の治療薬には、作用や用法の異なる複数の飲み薬と注射薬があり、患者さん一人一人の状態に合わせて種類や量を検討しています。  薬によって、腹痛や下痢、脱水、泌尿器系の感染症になりやすくなるなどの副作用があり、注意が必要です。血糖値が下がりすぎる低血糖にも十分な注意が必要です。

また診察時には神経障害の検査(アキレス腱反射・タッチテスト・振動覚検査・足背動脈・後脛骨動脈)も行うことができます。気になる症状がある場合は遠慮なくご相談ください。


薬剤師 有澤 祐美 



こんなとき、どうする?

こんなとき、どうする?
こんなとき、どうする2?
低血糖時の対応

 血糖値が正常範囲以下にまで下がった状態を低血糖といいます。空腹感、冷や汗、手指のふるえ、異常行動などの症状がみられ、放置すると昏睡状態に陥ることもあります。  ブドウ糖を常備するなど、低血糖に備えましょう。低血糖がおこったら、必ず医師に伝えましょう。

シックデイの対応

 シックデイとは、糖尿病患者さんが発熱・下痢・嘔吐、または食欲不振のため食事がとれない状態のこと。ストレスホルモンの上昇や発熱による体内の炎症反応、脱水傾向によって血液が濃くなるなどし、血糖値が上がります。食事がとれないことで低血糖の危険もあり、コントロールが難しくなります。

 シックデイのときは暖かくして安静にしてください。水分をしっかりとり、なるべく消化のよいものを食べてください。薬は決して自己判断で中止しないでください。事前に主治医と相談して対応を決めておくとよいでしょう。

 39度以上の発熱、嘔吐や下痢が止まらない、350mg/dL以上の高血糖などの場合、すぐに受診するか主治医に連絡してください。


高齢者糖尿病の治療

高齢者糖尿病の特徴

 高齢で糖尿病のある方は、糖尿病ではない方に比べて身体機能や認知機能が低下して虚弱な状態(フレイル)になる危険性が高くなります。また、血糖値が正常範囲内であっても低値・高値ともにフレイルの危険因子となることが分かっています。フレイルは要介護状態の予備軍と言われており、対応が必要です。

 また、高齢の方は併存疾患をもつ方が多い、低血糖が重症化しやすいなどの特徴があります。

血糖コントロールの目標値は 個別に、柔軟に設定

そのため、高齢の方の糖尿病治療では低血糖症にならないことが最優先となり、血糖コントロールの目標値は患者さんの状態によって柔軟に設定しています(下表)。

 治療の内容などについてご不明の点がありましたら、専門医または主治医にご相談ください。


高齢者・血糖値

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