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尿路結石

尿路結石とは

尿路

尿路結石は、尿が通る道に石ができる病気です。 上部尿路(腎、尿管)にできるものと下部尿路(膀胱、尿道)にできるものに分けられ、約95%が上部尿路結石です。

結石は約90%以上がカルシウムを含むカルシウム結石で、X線検査で白い影として映ります。 代表的な結石は、シュウ酸カルシウムで、リン酸カルシウム、またはその複合結石が大多数を占め、 そのほか尿酸結石、リン酸マグネシウムアンモニウム結石、シスチン結石などがあります。

罹患するのは30〜60代の男性に多く(男女比2・5対1)、日本人が生涯のうちに結石に罹患する確率は約10%で 、10人に1人は結石にかかると報告されています。 近年、患者数、罹患率とも増加傾向にあります。

典型的な症状は
「経験したことのない」激しい痛み

尿路結石の症状

上部尿路結石の典型的な症状は、背中から腰にかけて突然生じ、繰り返す痛み、「経験したことのない激痛」と表現されます。 冷や汗、吐き気を伴うこともあります。 鈍痛、無痛の方もいらっしゃいます。 結石が尿路を傷つけると、血尿、感染による発熱を起こすこともあります。 尿が出にくくなることで残尿感や頻尿など、膀胱炎や前立腺疾患と似た症状を訴える方もいらっしゃいます。

検査と診断

尿路結石の検査

症状の原因となりうる他の疾患を除外し、診断確定、結石の部位・大きさを確認するために検査を行います。 主に行うのは、尿検査、CT撮影、X線撮影、超音波検査です。

結石の状態や症状に合った治療を

結石が小さく(長径5mm前後)、形が滑らかな場合、尿と一緒に排出される可能性が高いため、 水分を多めに摂る、尿管を広げる薬や尿を出やすくする薬を服用するなど保存的療法で経過をみていきます。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

結石が大きく、また(1ヶ月くらい経過しても)元の位置から移動しない、痛みや発熱があるなどの場合は、 結石を体外に排出するための治療を行います。 代表的なものは、体外衝撃波結石破砕術(ESWL)、 尿道から内視鏡を入れてレーザーで砕く経尿道的尿管破砕術、 背部に開けた小さな穴から内視鏡を入れてレーザーで砕いて取り出す経皮的腎結石摘出術などです。

体外衝撃波結石破砕術(ESWL)

結石のある部位に体外から衝撃波をあてて砕く治療法です。 砕かれた結石は、やがて尿と一緒に排出されます。 体を切開しないので、傷は残りません。 1回1時間ほどの施術で、衝撃や音はありますが、強い痛みはなく、麻酔を使うことはほとんどなく外来での治療も可能です。

予防の基本は食事と運動

結石の治療は1984年のESWLの登場以来進歩してきましたが、罹患率は増加しています。 最近では尿路結石は肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病との関連性が証明されています。 また結石は再発率が高いという特徴があるため、再発予防が重要です。 予防の基本は食事と運動です。

食事は、結石の素となるシュウ酸を増やさないことが基本です。 肉類などの動物性たんぱく質の量を控え、野菜類を多く摂りましょう。 ビタミンCは大切な栄養素ですが、体内でシュウ酸をつくります。 サプリメントなどで大量に摂らないようにしましょう。 カルシウムはシュウ酸を体外に排出してくれます。 積極的に摂りましょう。 牛乳などの乳製品、小魚、大豆などの豆類や緑黄色野菜に多く含まれます。 ただし、ほうれん草にはシュウ酸が多く含まれていますので、食べすぎないよう注意しましょう。

水分不足になると、尿の濃度が高まり結石ができやすくなります。 水分を多めに摂りましょう。 排尿の回数が増えれば一緒に排出される可能性も高くなり、予防につながります。 ただし、シュウ酸を多く含む紅茶やコーヒーは飲み過ぎに注意が必要です。

軽めの運動をすることで、結石が砕けて自然に排出されやすくなります。 特に縄跳び、ウォーキング、ジョギングなど、体を上下に動かす運動が効果的です。 できるだけ階段を使うのもいいですね。

泌尿器科 近澤成和

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