尿失禁・頻尿
尿失禁とは、ご自分の意思に反して、おしっこがもれてしまう症状のことです。 尿もれといいましても、服までぬれるほどのものから、下着が軽く湿る程度のものまで、頻度や程度は様々です。 尿失禁の症状の方は、尿をもらすまいとトイレに行く回数が増えてきますし、 頻尿の方は、膀胱におしっこを多くためられず、トイレに間に合わなくて、もらしてしまうことがあります。
尿失禁や頻尿の方は、下着が汚れることで非常に不快感をおぼえたり、トイレが近いことから外出や旅行を避けたり、 尿臭を気にして人と接しないように社会的活動をご自分から制限したりされます。 つまり身体的だけでなく、精神的にも深刻な状況に陥ってきています。

日本では500〜600万人の方が患っていると考えられています。 60歳以上では、約20%の方に何らかの症状があるといわれ、高齢者ほど多くなる傾向にあります。
原因
尿失禁には4つのタイプがあり、それぞれ原因が異なっています。
- 腹圧性尿失禁
- 咳やくしゃみをしたり、笑ったり、重い物を持ち上げたりした時に、尿がもれるタイプ。尿失禁の70%はこのタイプです。 お腹に力が入った時に膀胱に圧力がかかり、尿道を支える筋肉が、その圧力に耐えられずにもれてしまいます。
- 切迫性尿失禁
- 急に強い尿意を感じ、トイレまで我慢できずもれてしまうタイプ。 脳出血・脳梗塞やパーキンソン病などの脳の病気や事故などで脊髄に損傷をおったために 脳から膀胱への排尿の伝達がうまくいかない場合や、加齢に伴い膀胱の機能が低下した場合におこります。
- 溢流性尿失禁
- おしっこが出にくいのに、いつの間にかもれているタイプ。 前立腺肥大症などで尿道が狭くなると、おしっこが出にくくなってしまいます。 そして1回1回のおしっこがきちんと出されず、膀胱の中にいつもおしっこがたまっている状態になり溢れ出てしまいます。
- 機能性尿失禁
- 膝や足が悪いとかで動作が緩慢なため、トイレまで行くのに時間がかかり過ぎてしまい間に合わないタイプ。 痴呆の方で、トイレがわからなくなってしまい、間に合わなくなってしまうこともあります。
治療法
- 尿道を取り囲む緩んだ筋肉を鍛える尿失禁体操
- 膀胱の収縮を抑えユッタリさせたり、尿道を締める作用をもつ薬の内服療法
- 尿道をテープで固定する腹圧性尿失禁の手術
などがあります。
尿失禁のタイプによって治療法は異なってきますが、治療を行なうことにより、ある程度症状が改善することがあります。 中には尿もれがまったくなくなる方もいます。
気分も晴れやかに、人前に出ることも、外出も、そしてグループ旅行にも出かけられます。
泌尿器科 近澤成和