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前立腺肥大

50歳代男性の25%は前立腺肥大?

男性の膀胱のすぐ下で尿道を取り囲むようにあるのが前立腺です。 前立腺は精液の一部をつくる臓器でこの分泌物が精子の活動を活発にする役割をもっています。

しかし50歳を越えると肥大が始まり4人に1人が、70歳を過ぎると10人のうち7人以上の方が肥大をしていると言われています。 年齢と共に前立腺が肥大する原因は不明ですが、男性ホルモンが関係していることはほぼ確実です。

症状

前立腺肥大は症状によって3期に分けられています。

前立腺肥大の症状
膀胱刺激期(第1期)
排尿の回数が増え、特に夜間に3回以上あります。 尿が間に合わない感じがしたり、トイレに着く前に尿が漏れてしまったりします(切迫性尿失禁)。 またトイレに行ってもすぐに尿が出なかったり尿をしている時間が長かったりします。
残尿発生期(第2期)
お腹に力を入れないと尿が出なくなります。 尿のきれが悪く50〜100mlの残尿があり、尿が全く出ない尿閉が突然起きることもあります。
慢性尿閉塞期(第3期)
膀胱の収縮力が低下し、常に大量の尿が膀胱に溜まっている状態になります。 そして尿がだらだらもれる溢流性尿失禁が起こり、腎臓機能障害が発生します。

自覚症状

閉塞症状
  • 排尿が始まる(終わる)まで時間がかかる
  • 尿の勢いが弱い
  • 排尿後に残尿感がある
  • 尿がでにくい いきまないと尿が出ない
  • 尿が出なくなる
刺激症状
  • 1日に何度もトイレに行く
  • 夜間に何度もトイレに行きたくなる
  • 急に排尿したくなる
  • 排尿が我慢できず失禁する

治療方法は内科的治療と外科的治療

前立腺肥大の治療には薬物療法などによる内科的治療と前立腺切除や摘出の手術などの外科的治療とがあります。

初期段階(第1期)や第2期でも軽症の場合には内科的治療を行ないます。 これはα1-ブロッカーと呼ばれる薬や抗アンドロゲン(抗男性ホルモン)剤、生薬や漢方薬などを用います。

薬物療法で十分な効果が得られない時や第2期以降の症状の段階では、外科的治療を行ないます。 その代表的なものとして電気メスの付いた内視鏡を尿道から入れ肥大した前立腺を取り除く経尿道的前立腺切除術があります。 尿道に内視鏡を挿入し、前立腺の肥大した部分を電気メスで切除する方法で、 おなかを切る必要がなく、最もよく行われている手術法です。 この他にも温熱療法やレーザー療法、開腹による前立腺摘出術などがあります。

排尿に異常を感じたら

最も鑑別が必要な疾患は前立腺がんです。前立腺がんは最近増えているがんのひとつです。 前立腺肥大症とは全く別のものですが、尿が出にくい、夜間の排尿の回数が増える、残尿感がある、といった 前立腺肥大と似たような症状がでます。 初期には無症状の場合が多く、進行すると骨などに転移し命にかかわる危険があります。

PSA検査という血液の検査がありますので、排尿時に不快感がある方はもとより、 50歳を過ぎたら定期的な検査を受けられることをお薦めします。 50歳を過ぎて排尿困難、尿線の異常などの排尿異常が少しでもみられたら、 直ちに泌尿器科または内科の医師に相談することが大切です。

『歳のせい』とか、『前立腺肥大のせい』とか勝手に判断することが、前立腺がんなどの悪性疾患の早期発見を遅らせます。

泌尿器科 近澤成和

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