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低出力超音波パルス療法  Low intensity pulsed ultrasound : Lipus

骨折の治癒を早める治療法

低出力超音波パルス療法(Lipus)

骨折の治療には、折れた骨をできるだけ元の位置に戻す「整復」、その状態を保持するためのギプスや手術での「固定」、 そしてリハビリが必要です。整復・固定の後は、細胞が新しく骨をつくり直す治癒力に任せることになります。

骨に機械的な刺激を与えると、その刺激に応じて骨が形成・修復されることが確認されています。

近年、骨折部位に微弱な超音波を断続的に照射する治療法(低出力超音波パルス療法)で 骨癒合が早くなることが分かってきました。 骨癒合期間が約40%短縮されたとする臨床研究の報告もあります。

プレミアリーグやメジャーリーグなどのトップアスリートたちが治療に用いたことでも知られています。 

どんな治療方法?

低出力超音波パルス療法(Lipus)

骨折部位に器具を装着し、毎日20分ほど低出力の超
音波を照射します。正確な位置への照射が重要で医
師の処方が必要です。痛みや違和感はほとんどあり
ません。

骨折した部位に微弱な超音波を断続的に照射しますが、治療に用いる超音波は連続的ではなく、 1万分の2秒間照射し、1万分の8秒間休止を繰り返す断続的な照射サイクルです。 専用の治療器具を用いて毎日20分ほど皮膚表面から超音波を照射します。 通常、治療による痛みや違和感はほとんどありません。

骨折部位に正しく超音波を照射しなければならず、エックス線やエコー検査等での位置決めが非常に重要です。 治療器具はクラスUに該当する管理医療器具であり、 超音波骨折治療は病院や診療所で基本的な骨折治療を行った上で早く骨癒合を得るための医療行為であり、 使用の適用となる症例に対し、医師の処方が必要となります。

手術と合わせて開始すれば、より早く治癒する可能性のある治療法です。

治療の効果・メリットは?

骨折した部位が癒合するまでの期間短縮が期待できます。 前腕・下腿の骨折の方を対象に、超音波照射を行った場合と行わなかった場合では、 骨折が完治するまでの期間がそれぞれ約40%短縮されたとの臨床研究結果報告があります。

必ずしも全例で骨癒合期間が短くなるわけではありません。

超音波照射有無による平均骨癒合期間の違い

超音波照射有無による平均骨癒合期間の違い


医療保険適用チェックのフローチャート

医療保険適用チェックのフローチャート

どんな骨折が対象?

医療保険の適用となるのは、四肢の骨折で手術を行った当該骨折発生から3週間以内の場合、 または当該骨折から3か月以上経過しても治癒しない難治性骨折などの場合です。

受傷後まもない骨折でのギプス等による保存治療などは適用外となります。


*1 骨折観血的手術
骨折している部位を正常な位置に戻した後、皮膚を切開して プレート、ネジ、ワイヤーやネイル、創外固定器などで固定する方法。 (受傷後まもない骨折でギプス等による保存治療には適用外)
*2 超音波骨折治療法
四肢(手足を含む)の観血的手術を実施した後に、骨折治療期間を短縮する目的で、 当該骨折から3週間以内に開始。(骨折から3週間以内に使用開始することが必要)
*3 難治性骨折超音波治療法
四肢(手足を含む)の遷延治癒骨折や偽関節であって、 観血的手術または超音波骨折治療法他の両方を行っても治癒しない難治性骨折に対して行った場合に限り算定。