医療法人防治会 いずみの病院

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診療科・部門

ご存じですか?整形外科のこと

紀元前、医聖ヒポクラテスの頃から、既にけがや整形外科で扱う疾患の記述がされています。専門領域として確立したのは中世ヨーロッパの頃です。当時、脊柱変形やけがなどにより手足や体が不自由な子供たちは、世間から不当な扱いを受けていました。 パリ大学の医学教授ニコラスは「子供たちの手足やからだを直せば、立派な人間になるだろう」と考え、1741年に医学書『L'Orthpedie』を出版しました。 Orthは「正しくまっすぐ」、pedieは「子供」の意味です。 これが医学の一分野としての整形外科のはじまりです。 日本では明治39年に、東京帝国大学に初めて整形外科学講座が作られ、その初代教授に田代義徳先生が就任。「之を束ね、これを支えそしてこれを正しうする」との意味で「整」という言葉を選び、また機能の正しいものは形も正しいとして、Orthopedie の日本語意訳として「整形外科」という言葉を造りました。

現在はその当時よりはるかに広い範囲が対象になっています。 運動器を構成するすべての組織(骨・軟骨・筋・靭帯・脊髄・神経など)の疾病や外傷を扱います。 打撲、捻挫、骨折などの外傷はもちろん、加齢に伴う変形性骨関節疾患、骨粗しょう症、 関節リウマチ、痛風、運動器の腫瘍、運動器の先天異常による先天性疾患など、 その内容は多様であり、リハビリテーション医学とも密接な関係があります。 また、新生児、小児から成人・高齢者まですべての年齢層が対象となり、患者数も極めて多くなっています。

形成外科との違いは?

形成外科との違いは?

身体の内側(骨・軟骨・筋・靱帯・神経・脊髄など)の疾病・外傷を扱う

形成外科 = 外見上の異常改善

身体の外側(皮膚など)の先天的・後天的な形態異常を扱う

形成外科(形成再建外科ともいう)とは、先天的あるいは後天的な身体外表の醜状変形に対し 機能はもとより形態解剖学的に正常にすることで、個人を社会に適応させることを目的とする外科の一分野です。 ケガ、やけど、床ずれなどの傷、がん手術などで失った組織や機能の再建、皮膚病変の切除、身体の先天性奇形の修正などを行います。 形成外科が当初、「成形外科」と呼ばれていたことから整形外科と混同されやすくなっています。 手足の指の先天性奇形や指の切断などの外傷などを扱う部分では整形外科と重なっています(手の外科)。

美容だけを行う形成外科は美容整形といい、整形外科とはまったく異なっています。 また、医療機関によっては保険上の理由などにより、美容整形を扱わない形成外科も多いのが現状です。

整形外科(医業)と医業類似行為の違いは?

整形外科 = 医業

医師が行う診察や診断(病名を特定しこれを伝える)、治療など医学に基づいて行う医療行為

あん摩・整骨・整体など = 医業類似行為

医師の専門知識や技能を必要としない施術・療術

あん摩・整骨・整体などは治療や健康管理のために行われていますが、 医師の専門的な知識や技能を必要としない、医業類似行為と呼ばれています。 さらに医業類似行為は、法で認められたものと法に基づかないものの2つに分けられます。

あん摩やマッサージ、はり、きゅう、整骨、接骨などは、施術と呼ばれ、「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師に関する法律」(通称:あはき法)や「柔道整復師法」で認められた、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師が行うものです。 対象の疾病や病状で、医師の同意がある場合に限って療養費として健康保険の対象となります。

カイロプラクティック、整体、骨盤矯正、気功、温熱・電気・光線などは、 療術と呼ばれ、法的規制はありません。公的資格はなく、民間資格をもっている方はいらっしゃいますが、資格をもたなくても営業することは可能です。 すべて自由診療であり健康保険は使えません。 また、法で認められている医業類似行為(マッサージ、整骨などの施術)を行うことはできません。

整形外科は医業で、診察や診断、治療など医学に基づいて医師が行う 医療行為です。 診察による理学所見とX線やMRIなどの諸検査をもとに診断し、 症状や病態にあわせて投薬、注射、手術、リハビリテーションなどで治療します。

腰やくび、肩、ひざなどが痛いとき、病院や診療所などの医療機関の他に、あん摩や整骨、整体などに行かれる方もいらっしゃるでしょう。 しかし、治療のためには適切な診断が不可欠です。 そのためには医学に基づく専門知識と画像や諸検査などが必要であり、診断を行えるのは医師のみです。 これらの違いや保険制度上の取り扱いなどをよく理解した上で、治療を受けていただきたいと思います。