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「パーキンソン病の手術 脳深部刺激術」「パーキンソン病のすべてを語る」

2014/12/13 高知市立自由民権記念館 高知パーキンソン病フォーラム

治療法が確立されていない難病の一つであるパーキンソン病。このフォーラムは、パーキンソン病への理解を深め、治療や今後の展望など最新の情報を知ってもらおうと毎年開催しています。

今年も患者さんやご家族、医療関係者など多数の方にご参加いただき、熱気に包まれた有意義な会となりました。

高知パーキンソン病フォーラムのようす

パーキンソン病の手術 脳深部刺激術

いずみの病院 脳神経センター長・パーキンソン病外来担当医 清家真人

いずみの病院 脳神経センター長・
パーキンソン病外来担当医 清家真人

初めに脳神経センター長の清家真人より、脳深部刺激術(DBS)を紹介。 脳の視床下核に電極を埋め込み電気刺激することで症状を緩和するために行う手術です。 日内変動(症状が1日のうちで良くなったり悪くなったりを繰り返す状態)の軽減、 薬と併用してコントロールをしやすくするなどの効果が期待できます。 進行性の病気で手術でも完治は困難ですが、進行を約5年分巻き戻す効果も期待できます。

当院では2001年11月〜2014年11月の間に、パーキンソン病133例に対して235回(両側102例・片側31例)の手術を実施。 手術後、生活動作や日内変動において約90%の方が、服薬量の減量において約80%の方が効果があったと答えられました。

手術の危険性は脳外科手術の中では少なく、当院ではDBS手術での出血例はありません。


パーキンソン病のすべてを語る

順天堂大学医学部 脳神経内科 教授 服部信孝氏

順天堂大学医学部 脳神経内科
教授 服部信孝氏

特別講演の講師としてお迎えした順天堂大学医学部 脳神経内科の服部信孝教授は、 論文の引用件数が世界第7位と多くの研究者から注目されるパーキンソン病研究の第一人者。 数多い研究の中から、興味深い内容を分かりやすくお話しいただきました。

パーキンソン病の兆候(嗅覚低下・日中過睡眠・便秘など)、診断のポイント、新しい治療薬のこと。 また、水素水とコエンザイムQ10の服用による進行抑制効果の検証、嗅覚トレーニング、 発音を改善するボーカルトレーニング、メイクアップセラピー、iPS細胞を用いた治療など、 現在進行中の研究についてもお話しくださいました。

さらに神経内科医のこれからの役割として、今回のような講座を通じてパーキンソン病を少しでも理解してもらうこと、 総合的な治療方法や診断マーカーの開発、パーキンソン病に特化したリハビリプログラム作り、 患者さんを中心にパーキンソン病に関わる人たちが真摯に向き合い対話する学会の立ち上げなどを挙げられました。

「患者さん自ら考え活動する学会、“日本パーキンソン病コングレス”を設立。 6月に茨城県水戸市で第1回大会を開催します。 皆が知識や情報を持ち寄り、患者さんの生活の質向上をめざしましょう」。 力強い言葉に、大きな期待と拍手が送られました。

脳神経センター長  清家真人

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