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急性腰痛症

急性腰痛症

急性腰痛症の予防と対処

「急性腰痛症」とはどんな状態をいうのでしょうか?

一般的には「ぎっくり腰」といわれている状態を指しています。
腰椎(腰骨)は5個の椎骨で構成されていますが、それを支えている椎間板や関節、筋肉や靱帯などに 部分的な損傷が起こり、強い痛みが生じると考えられています。
ほとんど一ヶ月以内に軽快消失してしまいますが、 急性腰痛を繰り返していると椎間板ヘルニアを合併したり慢性腰痛へ移行することがあり、 正しい対処の仕方が大切です。

どういった時に起きるのでしょうか? 起こしやすい年齢などはありますか?

顔を洗おうとして体を曲げた、靴下を履こうとしてうつむいた、中腰で荷物を持ち上げた、 あるいは、何気なく振り返ったなどのちょっとした動作がきっかけで生じます。
20歳以下で見られることはほとんどありません。 椎間板や関節などに加齢現象が始まってくる30歳以降の方や、 過去に急性腰痛を経験された方は注意が必要です。

起きてしまったときはどうすれば良いのでしょうか?

ほとんどが自然軽快しますので、自然治癒を妨げない配慮が必要です。
まず、無理をせずに安静にすることです。 横になって、膝・股関節を曲げてエビのような状態で休むのが良いでしょう。 腰部を冷やすのも効果的と思われます。 但し、冷やしすぎると皮膚を刺激して増悪することもあるので 氷嚢などをタオルでくるんで1回につき15分ほど冷やすのが良いと思われます。 痛み止めなどがあれば服用するのも有効です。 痛みを我慢して無理に仕事を続けたり、 炎症が起こっているので当日は入浴も避けたほうが良いと思われます。 しばらくはマッサージなども控えたほうが良いでしょう。
安静は必要ですが、4日以上の長すぎる安静は回復を遅らせるとも言われています。 個人差はありますが、ある程度痛みが引いたら、安静を続けるよりは 適度に動くほうが早く回復すると考えられます。

病院などを受診したほうが良いのはどんな場合ですか?

2〜3日の安静で効果がない場合や、 身体を動かさないのに腰痛がある、安静にしていても余計にひどくなっていくときなどは、 他の疾患も考える必要があります。
下肢に痛みやしびれがある、感覚障害がみられる、力が入らない場合。 また、排尿障害などを伴っている場合などは 椎間板ヘルニア、脊椎すべり症、腫瘍なども考えられます。 高齢の方で、骨粗鬆症の強い方などは圧迫骨折なども疑う必要があります。 かかりつけ医や整形外科などへの受診をお勧めします。

予防する方法はありますか?

はい、ほとんどは予防が可能です。 普段から腰をかばうという意識をもつことが重要です。

寝るときには
一般的には少し硬めのベッドやフトンが良いでしょう。 上を向いて寝るときは膝を軽く曲げてその下に枕などを入れて腰椎(腰骨)の反り返りを防ぎます。 横向きで膝を軽く曲げて寝るのも良いでしょう。 うつぶせで寝るのは良くありません。
起き上がる際は、まず横向きになり、次いで手をついて起き上がるようにします。
腰をかける際には
硬めの背もたれ付き、肘掛付きの椅子が良いでしょう。 深く腰かけ背中を密着させます。 座面の高さは股関節と膝が無理なく曲げられる程度が良いでしょう。 長い時間の座位は避けましょう。
立ち上がる際には、肘掛に手をついて、 両手・両足で体を押すように立ち上がると良いでしょう。
床から物を持ち上げる際には
まず、膝を十分に曲げて荷物を体に近く持ち、 立てひざをして立ち上がるようにしましょう。
高い所の荷物の上げ下ろしの際には
腰椎(腰骨)の反り返りを防ぐために、背伸びをせずに踏み台を使用してください。
その他
ハイヒールなどはできるだけ避け、歩きやすい靴を履いてください。
太り過ぎない配慮も必要です。
洗面の際は、膝・股関節を軽く曲げるようにしてください。
腹這いになって本を読んだり、横になって片肘をついてテレビを見るなども避けましょう。

背骨を支える筋肉(腹筋や背筋)が弱くなると、腰への負担が大きくなります。 日頃から腰痛体操などで筋肉・靱帯・関節などの柔軟性を保ち、 腹筋・背筋をバランス良く強くし、 背骨をしっかりサポートしておくのも大事だと思われます。
腰痛体操の効果が出始めるには最低1〜2ヶ月はかかります。 ただし、腰痛体操をやったことで腰痛が悪くなるように感じたら 一度専門医への相談をお勧めします。

整形外科 武井良憲

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